ノラ・トゥーミー監督舞台挨拶

第3回うえだ子どもシネマクラブ

ご報告が遅くなりましたが、『ブレッドウィナー』上映と、ノラ監督のオンライン登壇が26日月曜日に無事行われました。この企画ではじめての監督登壇が、海を超えたアイルランドから‥という奇跡のような夢のような時間!現地時間、朝7時という早朝にも関わらず、この企画に賛同してくださり、登壇いただいたノラ・トゥーミー監督。

少しだけ、トークの一部をご紹介させてください。

15歳の時、学校に馴染むことができなくて、学校を中退したというノラ監督。当時から絵を描くことが大好きでしたが、一方でとても恥ずかしがり屋の性格もあり、学校を辞めた頃は、誰かと話すことができなくなった時期もあったそうです。ただ、社会で何かの役にたちたいという感覚を求めていたこともあり、約4年の間、工場で12時間の夜勤の仕事をされていた時代もあったとか。

そのような中で、自分自身の中で答えが見つかっていない、苦しみの中にいた当時のノラ監督に対して、お母さんが急いで答えを求めるようなことをしなかったそうです。自分自身で、自らの世界を探索すること。そして、自分なりの答えを見つけて行くというプロセスを、ノラ監督のお母さんが許して見守ってくれていたことが、本当にありがたかった、と当時を振り返られていました。

そうした時間を経て、ようやく自分の世界が理解できて、誰かにそれを伝えることができるようになった頃(それが23歳のタイミングだったそうです)に、もう一度学校に戻ることができたそうです。その学びの場が、アートやアニメーションを勉強する大学で、そこで出会った友人たちと「カートゥーン・サルーン」(『ブレッドウィナー』の制作会社)を立ち上げることにつながっていったそうです。

作品の素晴らしさ、描かれているアフガニスガンの現実の切実さ、そしてアニメーションの美しさはもちろんですが、今回そうした監督自身のストーリー(物語)を聞くことによって、それが映画のストーリーと重なり合い、さらにご来場いただいたみなさん自身の物語に意味付けされていくとうれしなと思います。そうした体験が、監督がお話されていたところの「自分なりの答え」につながるのではないかな、と感じたりもしました。


今回はアンケートの他にも「パヴァーナへの手紙」をみなさんに書いていただきました。感想を直接表現するのってどこか難しいけれど、こうやって「お手紙」に気持ちを託すと、感想が素直に浮かんで来たりするものです。お手紙はノラ監督のもとにお届けいしたいなあと思っています!


ご来場いただいたみなさま、そしてこの上映会に思いを馳せてくださっているみなさま、そして朝早くから登壇していただいたノラ監督、本当にありがとうございました!