第7回うえだシネマクラブ

2月の上映会では、アイヌの血を引く少年の成長を通して現代に生きるアイヌ民族のリアルな姿をみずみずしく描いた『アイヌモシㇼ』を上映します。

日本列島に古くから暮らしていた先住民族の「アイヌ」。2019年には「アイヌ新法」が成立し、民族共生象徴空間「ウポポイ」が開館しましたが、日本はあまりにその歴史や文化を知らないまま、現代を生きているような気がします。

映画『アイヌモシㇼ』では、先住民族としての語りきれない歴史の一端を、現代を生きる14歳のアイヌの少年が演じます。大きな世界観と自然観を持つ、豊かなアイヌの文化と暮らし。自分自身のルーツと、この広い世界の間で揺れ動く思春期の少年を通じて、現代を生きる私たちにも様々な問いを投げかける作品です。

『アイヌモシㇼ』

[2020年/日本・アメリカ・中国/ビスタ/カラー/84分]


“ 少年は、世界に触れた。”

ちかくてとおい、ぼくが住む町のお話


[解説]

近年、アイヌが注目されている。「アイヌ新法」成立は記憶に新しく、大ヒットコミック「ゴールデンカムイ」により、多くの人がその文化の多様性や自然との共存を大切にする精神性に新たに魅せられている。今年も北海道白老町にオープンしたばかりのアイヌ文化施設「ウポポイ」など、話題が尽きない。長編デビュー作『リベリアの白い血』で、ニューヨークに渡るアフリカの移民の苦悩を描き、国内外で高く評価された新鋭・福永壮志監督が5年をかけて作り上げた2作目となる今作は、自身が生まれ育った北海道を舞台に、阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年の成長を通して、現代のアイヌ民族のリアルな姿を瑞々しく映し出している。ニューヨーク・トライベッカ映画祭のインターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門にて長編日本映画史上初の審査員特別賞を受賞し、審査員である映画監督のダニー・ボイルや俳優のウィリアム・ハートらに絶賛された。本作にて初主演を果たしたのはアイヌの血を引く新星・下倉幹人。演技は初めてとなるが、力強い眼差しが印象的な主人公・カントを演じ、アイデンティティーにゆれる等身大の役どころに挑戦した。その他主要キャストもアイヌが務め、カントの父の友人デボに扮するのは、阿寒に暮らし多岐にわたる活躍をみせる秋辺デボ。アイヌの伝統を重んじるデボ役を体現している。カントを優しく見守る母のエミ役は下倉幹人の実の母親でミュージシャンの下倉絵美が担当した。三浦透子、リリー・フランキーら実力派がゲスト出演し、作品に重厚感をもたらせている。

[あらすじ]

14歳のカントは、アイヌ民芸品店を営む母親のエミと北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで暮らしていた。アイヌ文化に触れながら育ってきたカントだったが、一年前の父親の死をきっかけにアイヌの活動に参加しなくなる。アイヌ文化と距離を置く一方で、カントは友人達と始めたバンドの練習に没頭し、翌年の中学校卒業後は高校進学のため故郷を離れることを予定していた。亡き父親の友人で、アイヌコタンの中心的存在であるデボは、カントを自給自足のキャンプに連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教え込もうとする。少しずつ理解を示すカントを見て喜ぶデボは、密かに育てていた子熊の世話をカントに任せる。世話をするうちに子熊への愛着を深めていくカント。しかし、デボは長年行われていない熊送りの儀式、イオマンテの復活のために子熊を飼育していた。


【出演】

下倉幹人、秋辺デボ、下倉絵美、西田正男、松田健治、床州生、平澤隆二、廣野洋、邊泥敏弘、山本栄子、西田香代子、平澤隆太郎、OKI、結城幸司、三浦透子、リリー・フランキー

監督・脚本:福永壮志/プロデューサー:エリック・ニアリ、三宅はるえ/撮影監督:ショーン・プライス・ウィリアムズ/音楽:クラリス・ジェンセン、OKI/編集:出口景子、福永壮志 /録音:西山徹/整音:トム・ポール

©AINU MOSIR LLC/Booster Project


●作 品:『アイヌモシㇼ』ainumosir-movie.jp

●日 時:2021年2月22日(月) ① 10:30~12:00  ② 13:30~15:00

●会 場:上田映劇(上田市中央2-12-30)

●定 員:各55名/要申込み


●ご予約はこちらから▶︎https://forms.gle/jCeLYnivQW31RCM57


●主 催:NPO法人 上田映劇、NPO法人 アイダオ、NPO法人 侍学園スクオーラ・今人

●後 援:長野県教育委員会事務局 東信教育事務所、上田市教育委員会、東御市教育委員会、小諸市教育委員会、佐久市教育委員会、御代田教育委員会


●お申し込み&お問い合わせ:

 上田映劇(上田市中央2−120)0268-22-0269/uedaeigeki@gmail.com